保護者の反応 & 少々お待ちください
- 2019.06.09 Sunday
- 11:37
そら先生、きむ先生、私(掛札)には答えられない質問なので、並木先生にお尋ね中です。少々お待ちください。
がみ先生、「プールをやめ、外遊びも暑さ指数を考慮して中止する」という内容に対する保護者の方の反応についてですが、一部の保護者の方が「残念」「やらせてほしい」「別の園にいる下の子はしているのに」とおっしゃるのは、当然のことです。人間にとっては目先の益(この場合は「子どもが楽しい」)が基本もっとも大切であり、そもそも起きるかどうかすらわからない害(熱中症や水死)は無視できるのです、認知上(『保育者のための心の仕組みを知る本』に書きました)。
でも、その親御さんのお子さんが亡くなったら? その親御さんは「私があれだけ言ったからいけないんです」とおっしゃるでしょうか? おっしゃる方もいるとは思います。でも…。そのお子さんが亡くなったこと、それも他人である保育園の責任下で亡くなったという事実は変わりません。子どもの命は失われ、保護者も保育士も傷つき(「傷つき」どころではありませんよね)…。
「価値とリスクのバランス」は常に重要です。ですから、私がお話をしたとしても、今でも大多数の園は「プール活動をする価値」「30度を超えても外遊びをさせる価値」を優先させているのでしょう。それがダメだという権利は私にも、誰にもありません。でも、ここ数年間の動向を考えた時に、保育園でお子さんが亡くなることのリスクが命以上に大きくなっていることは認識するべきだと私は考えます。そのリスクを、園が、先生たちがどうお考えになるか、です。子どもの成長と命に最終的な責任を負っているのは、保護者です(虐待等がない限り)。ですから、プールや暑熱下の外遊びという、子どもの命に園の責任が関わってくるリスク(と価値)は、保護者が自分の判断と責任下ですべきことです。
「このお母さん/お父さんを悲しませたくないから」、プールをする、暑熱下の外遊びをする、という選択は合理的でしょうか、子どもの命と育ちを保証するうえで。
もうひとつ。これはどんなことにでも言えることですが、人間は「これまで続けてきたことが変わること」に心理的な抵抗を示します(これも確か『心の仕組み』本に書いたこと…)。「ステイタス・クオ・バイアス(status quo=現状)」と呼ばれる認知の歪みです。入学、進学、就職、転職、結婚、離婚、なんでもそうです。人間は(生き物は)「変わること」が大嫌いなのです。一方、人間は変わってしまったら、けっこう早くその状況に慣れます。もちろん、このバイアスの強さも慣れの速さも個人差がありますが。
いかがでしょうか。
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- comments(3)
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今年度のプールを無事に終わることができ、先生に改めてお礼を申し上げたいと思いコメントをさせて頂きます。
先生のアドバイスのおかげで、園側の安全対策について質問して回答を得ることができました。
園の先生方は忙しく、あまり私の質問を深刻に受け止めてはいらっしゃいませんでしたが、連絡ノートを使って再度確認をしたら管理職からも回答を得られました。
先生方に深刻さを伝えることができ、昨年度よりも安全に配慮した活動をして頂くことができました。
子どもが楽しく、また無事に生きて帰ってきてくれて本当に安心しました。来年度からもプール活動はありますが、その都度安全について確認をしていきたいと思います
本当にありがとうございました。
それでも、おおかたの園はプール活動をお続けになると思います(やめている園、スイミングスクールを使っている園も増えてきていますが)。でも、「価値とリスクの天秤が大きくリスク側に傾いている活動をしているのだ」とわかってプール活動をするのか、ただ漫然と「夏だから」とするのかで、行動は違うはずです(違うと思いたい)。
それは「心配な保護者」さんのような方が園に直接お伝えになることも同じです。「とにかくやればいいんだよね」ではなく、「見ている目があるんだ」と思うことは重要ですから。
これからも何かございましたら、いつでもおっしゃってくださいませ! 園と保護者がケンカをするためではなく、つながりを強くして、何でも言える関係になるようにしたいというのが私の願いですから。